港区南青山〜清水湯〜

今回伺うのは東京の超おシャレタウン南青山。
そんな街にある銭湯はどんなものなのか。
青山の地に100年以上の歴史を持つ清水湯さんへ、いつも通り場所と営業時間だけ調べて、車で向かう。

グッと冷え込んできた11月上旬。
小雨も降り、より寒さを感じる。

近隣にある安い駐車場はどこも満車のため、住宅街にある目玉が飛び出る程の高額コインパーキングに車を停め、歩きながら向かう。

原宿〜表参道付近とは違い、南青山の住宅街には派手な店がほとんど無く、ガレージ付きの大きな家の隣にスイーツショップや小物屋があり、落ち着いた雰囲気の街だ。
南青山の住宅街から大通りに出ると、表参道の駅前の大きな交差点に出た。
その表参道の交差点から赤坂方面に2〜30メートル先、とはいえ交差点からほんのすぐそこに立派なポルシェの販売店がある。
今回伺う銭湯は、ポルシェの脇の道を入ってすぐの場所。

『南青山のポルシェ屋さんの裏の銭湯』

立地だけで、なんてオシャレなんだ。

脇の道に入ってすぐなので、こちらの銭湯に来るのに迷うことはなさそうだ。
まさかの場所にある銭湯は、こちらもまた看板が無ければ銭湯とは思わないだろう。
五階建て程のマンションの一階部分が銭湯になっているようだ。
いつ頃なのかはわからないが、建物自体はかなり新しいと思われる。

中に入る前、外観を眺めるもなんか違和感。
銭湯らしくない看板だ。
入口には『スライム出没注意』とあり、何かイベントの会場のような感じだ。

これは途中からわかったのだが、
『転生したらスライムだった件』
というアニメとのコラボ企画だったようだ。
外装からわかる通り、相当派手なコラボ企画をやっていて、いたる所に装飾や展示があり、元々どんな感じだったのかが非常にわかりにくい感じになっている。

以下、コラボ中の装飾と思われる物についての詳細は省略する。

建物に入ると、まずは下駄箱。
下駄箱はロッカー式で、この時点でここの銭湯が相当綺麗で新しいことがわかった。
下駄箱の時点ですでに音楽がかかっている。

ドアの先へ進むとフロントがあり、券売機で入浴券を買う。
フロントのカウンター前には利用客のキャリーバッグが並んでいるので、旅行者も多く訪れているのがわかる。
今まで都内の銭湯でキャリーバッグは見たことなかったので驚いた。

券売機では通常の入浴料の他にサウナや手ぶらセット等もある。
今回はサウナ利用、シャンプーやタオル類全てが付いて1310円と、東京の公衆浴場の値段が460円なので、追加料金がかなり高め。
しかしそこは南青山なのでよしとしよう。

カウンターには若い女性がおり、下駄箱の鍵と券を渡すと、ロッカーの鍵を渡してくれる。
どうやらここのロッカーは指定式のようだ。

脱衣所はこじんまりとした感じだが、かなりオシャレで綺麗。
利用客が多く、スーツ姿のお客さんの姿も。
ロッカーの鍵は、なんとワイヤレス!ロッカーに近づけると自動で解錠する。
このロッカーのシステムは初めての体験だ。斬新過ぎる。

浴室に入ると、まず人の多さに驚く。
しかし人数はさほど多くなく、コンパクトな浴室に密集しているように感じた。
音楽がかかっていて、ペンキ絵やタイル絵等は無く、銭湯よりオシャレなホテルの大浴場のような雰囲気。

ビル型銭湯、通称『ビル銭』特有の天井の低さもあり、ちょっと狭く感じる。
床のタイルは濃いグレーで、カラン周辺は石のタイルでできている。
入って左側にあるカランは、対面の島カランが2ずつで、それを囲うように12カ所並び、少し離れた所に立ちシャワーが2カ所。

昔ながらのカランではないのが少し残念だったが、とても綺麗で扱いやすかったのが印象に残る。
ざっと身体を洗ったら、湯船へ。

こちらの湯船は3種類。
まずは1番先に目に入った、入って右側にあるジェットの付いた風呂から。
5人くらいは入れるだろうか。
温度は大体41度位で、ゆったり入るのが好きな方には最適の温度になっている。
壁がガラスブロックになっていて、明るい光が浴室内を照らしている。
マッサージ効果でリラックスできるのだが、人が多く居心地が悪かったため、サッと入っただけですぐに出てしまった。

続いて扉の向こうにある風呂へ。
入った時には気がつかなかったが、この扉の脇には掛け湯がある。
少しぬるめだが、手桶もあるので出る時に使うのもいいだろう。

扉の向こうには『高濃度炭酸泉』と『スライム風呂』がある。
どちらも3人入れば満員位の大きさ。
浴槽の外にはプラスチック製の椅子が数脚あり、そこで休憩できるようになっている。

まずは炭酸泉へ。
こちらは40度あるかないか、かなりぬるく感じた。他に入っている方も、顎下までしっかりと浸かっている。
隣のスライム風呂も同様の温度。
もちろん、スライム風呂はコラボ企画のものであり、普段はシルクバスというそうだ。
シルクバスはかなり滑らかな湯質で、ゆっくり時間をかけて浸かることができる。
これは女性人気が高そうだ。

しかし熱湯が好きな私には風呂に物足りなさを感じてしまった。

続いてサウナへ。
サウナ室内にはテレビが設置してあり、温度は86度。
他の風呂の大きさからすると結構大きめで、6人位は余裕で入れるようだ。

10分ほど汗をかき、サウナのすぐ脇にある水風呂へ。
水風呂は最大3人ほどの大きさで、水はしっかりと冷えている。
身体の熱を冷まし、しばらくぼーっとする。
サウナ好きには最高の時間だ。
サウナ→水風呂を数回繰り返し、風呂を後にする。

脱衣所から出ると、ラウンジには多くのお客さんで賑わっていた。
飲み物は一通り揃っているが、珍しい物ではベルギービールなんてのも置いている。

ここの銭湯、どの客層にも合わせた配慮があちこちに見えたのがとても好印象だった。
個人的にはお湯の温度が物足りない位だったが、友人同士、恋人同士、子連れの家族でもみんなで楽しめる銭湯だと思う。
化粧水や乳液等も売っているので女性にも安心だろう。

隅々まで綺麗に掃除されており、清潔感では過去最高ではないだろうか。
東京表参道からすぐ、南青山にオシャレな銭湯をみつけました。


今日も、いいお湯でした!


アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

南青山 清水湯

大田区羽田〜入船湯〜

今日の銭湯は日本一の大空港、羽田空港のすぐ近く。
最寄駅は京浜急行穴守稲荷駅。
今回伺う入船湯は、なんと江戸時代から続く銭湯だそうだ。

晴天、最高のドライブ日和の午前中に車で向かう。
『羽田』というと、自分の中では完全に空港のイメージ。
なので、恥ずかしながら空港以外で『羽田』って町があるのを今回初めて知った。

湾岸線ではなく、蒲田方面から環八通りを進む。初めて通る道だ。
付近に到着すると、天空橋駅に向かう橋がかかっている。
その橋の手前を海沿いに曲がると、そこは昔の雰囲気漂う漁師町。
サイクリングしている人や、海沿いを散歩している家族連れもいる。

銭湯近くに土手があり、海沿いに漁船が並ぶ。
知らなかった。羽田って漁師町だったのか。
どことなく、横須賀市平成町埋め立て前の安浦の雰囲気に似ている。

ナビ通りに進むと、漁師町の中の住宅街に入る。道はかなり狭いが、迷うことなくすぐに着いた。
建物は一階部分がタイル張りになっていて、二階から上は居住スペースになっているようだ。
青と白の独特な雰囲気の看板に、大きく『入船湯』とかかれている。

いつも通り近隣のコインパーキングを探すも全然見つからず、戻ってご主人に駐車場の場所を聞いたところ、建物脇のスペースに駐車できるとのことで、そこに置かせてもらった。
縦列で最大3台まで駐車可能とのこと。

さて建物内へ。
靴を脱いで札を抜き、入ってすぐのフロントへ。
フロントのご主人に色々話を伺うと、やはりここら辺は漁師町で、常連さんは夏になると上半身裸のまま入店してくるようだ。
なんかその辺も横須賀っぽい。

脱衣所はいくらか古く見えるが、清潔が保たれている。
こちらはごく普通のロッカー式。
脱衣所中央にもロッカーがあり、その上には植物とうちわが置かれていて、マッサージ機も設置してある。

さっと服を脱ぎ、いざ風呂場へ。

先客は高齢の方2名のみ。
風呂場の全体の印象はさほど大きくなく、明るい感じ。湯気も篭っていないのでいい感じだ。
正面の壁には雪の山と川のタイル絵が貼られている(記憶が曖昧な部分あり)。
正面壁添いに湯船が並び、左手前にサウナ。

カランはいつもの縦並びになっていて、
左から、
2(立ちシャワー)+2、
対面鏡付き島カランが5ずつ、
右壁沿いに10。
シャワーは固定式。

湯船に浸かる前に、まずはサッと身体を洗う。
軽く洗ったら、湯船へ。

浴槽はとても妙な形をしている。
壁添いに並んでいるのだが、どれも四角形ではないのだ。
左から日替わり?の珍しいヒアルロン酸風呂(L字)。
普通の風呂(五角形)。
バイブラ湯と電気風呂(変則L字)。
となっている。
普通の風呂の壁には岩が張られ、バイブラ湯の壁にはなんと水槽が埋め込まれている。
さほど大きくはないが、立派な水槽だ。
その中には海沿いの銭湯なのに、金魚が数匹泳いでいる。これがアジとかなら最高なのに。

まずはヒアルロン酸風呂へ。
この手の薬湯はだいたい温度は低めに設定してあることが多いのだが、ここの温度は46とかなり高め。
熱いお湯が好きな自分としては嬉しい所だ。

隣の風呂も、マッサージ湯も電気もここよりぬるめに設定してあり、ゆっくり入るのが好きな方はこっちがいいだろう。
しかし湯船自体があまり大きくないので、混雑時はあまりゆっくりできないかもしれない。

続いて無料サウナへ。
MAX7人位入れるサイズのサウナは92度ほど。
貸し切り状態のサウナを楽しみ、外へ出るも残念なことに、こちらの銭湯には水風呂が無い。
桶で水をかぶり身体を締めるが、サウナ好きとしてはかなり残念だった。

時間が無く、あまりゆっくりできなかったがまた行きたい所ができた。
蒲田〜羽田空港辺りに遊びに行く時は、是非立ち寄ってもらいたい。


今日も、いいお湯でした!


アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

羽田 入船湯

国分寺市東元町〜桃の湯〜

この日は東京都国立市まで、あの有名な銭湯絵師丸山清人師にペンキ絵を習いに行ったので、その帰りに車で向かう。

当初の予定では国立市唯一の銭湯に行くつもりだったのだが、この日はあいにくの定休日。
それを知ったのが夕方の帰る直前だったので、焦って検索して行きやすそうな所を見つけて向かう。

場所は国分寺市。
それ以外は何もわからないままナビ通りに道を進み、到着した頃には外は既に暗くなっていた。
帰ってから地図で調べたのだが、最寄駅は国分寺駅だったようだ。
国分寺駅の南側に位置する。

こちらは歩道のない商店街の様な通り沿いにあり、建物のすぐ近くに銭湯利用者用の駐車場を見つけたので、そこに駐車。
建物は通りから車一台分ほど奥まった所にあり、建物前には自動販売機や利用者の駐輪場となっている。

こちらは店頭にコインランドリーがあり、コインランドリー店内を通り抜けた先に銭湯の玄関がある為、少し変わった造りをしている。
外観を眺めると、コインランドリーの向こうに高い煙突と立派な千鳥破風が見える。

店内に入り靴を脱ぎ、下足箱の鍵を抜いたら正面にあるフロントで入浴料を支払う。
向かって左側にはソファーとテーブル、テレビが設置してあり、ちょっとした休憩スペースになっている。
ここの空間は、銭湯というより民宿や旅館の雰囲気に近いか。
床が赤っぽい絨毯で、あちこちにレトロな雰囲気を感じる。
フロントのまわりには入浴に必要な様々な商品が並んでいるので、おそらく手ぶらでも問題なく入れると思う。

入浴料を支払ったら左手の男湯へ。
男湯へは暖簾ではなくカーテンで仕切られていて、カーテンの先はすぐ脱衣所。
脱衣所はベーシックな感じだが、オシャレな照明が吊るされていた。
こちらは脱衣籠ではなくロッカー式。
そういえば、今まで行った都内の銭湯は全てロッカー式で、脱衣籠を使う所はなかった気がする。
飾りのように籠が置いてある所はいくつかあったが、流石に今の時代は籠だけでは心配か。

2つ並ぶ洗面台はずいぶん古く感じ、ドライヤーは有料となっている。
脱衣所には何故か大きなガラス窓がついており、その先には小さな部屋のような所が見える。

服を脱いだらいざ風呂場へ。
風呂場の第一印象は、温度と湿気。
天井は高く、昔ながらの銭湯を以前少しリニューアルしたような印象がある。
しかし浴場内の温度と湿気がずいぶん高い気がする。
せっかく天井が高いのだから、もう少し湯気抜きをしたらいいのに。

壁、天井は白いペンキで塗られているが、ずいぶんとはげている。
正面には茶色いタイルが張られている。壁の大きさからして、ここもおそらく以前はペンキ絵だったのだろう。

カランは左壁沿い手前から立ちシャワーが2、シャワー固定式カランが4。
島カランは鏡付き、シャワー固定式で、左側は対面で5ずつ、右側が6ずつ、右壁沿いに7。
サッと身体を洗い、湯船へ。
湯船は3つあり、左がマッサージ付きバイブラ、真ん中に浅湯、右に深湯が並んでいる。
浴槽には全て濃い紺色のタイルが張られている。

まずはちょい狭めの深湯から。
勢いよく湯船へ入ると、お湯の温度に驚いた。
温度計は46度と、かなり熱めの風呂だ。

熱い風呂に浸かると一気に毛穴が開き、玉のような汗が噴き出す。
自分は熱いお湯が好きだからなんとも思わないが、小さな子供はまず入れない温度だろう。

先客が3人おり、そのうちの2人は隣の風呂に浸かっている。
ずいぶんリラックスして入っているように見えたが、こちらも温度は変わらず。
さすが常連さん、慣れている。

深湯から飛び出し、少し身体を冷ましたら一番広い真ん中の浅湯へ。
いつもなら風呂に浸かりながらリラックスできるのだが、今回は状況が違う。
平日の夜7時を回って、現在国分寺の銭湯。
なかなか現実離れした状況だ。

浅湯から出たら、またしばらく身体を冷ます。
汗がひいてきた頃、立ちシャワー隣にあるドアが開いた。
そのドアから出てきたのは、さっき湯船にいた先客の1人。

よく見たら、そこはサウナのようだ。
何も書いてなかった気がするが、無料なのかな?
せっかくだからと思い、その先客が再度中に入った直後に入室。

そこは造りでわかる、いつものドライサウナではなく、低温のミストサウナの造りだ。
しかし、明らかにサウナが稼働していない。
ミストも出ていなけりゃ温度も常温。
そんな中、その先客は室内のベンチの上に寝転び、顔をタオルで隠しながらストレッチをしていた。

『すみません、ここって・・・』
と言いかけるとすぐにストレッチ中の手を横に振り、『やってないよ』の合図。
なるほど、このおじさんの休憩スペースだったのか。。。
この時わかったのだが、さっき脱衣所から見えていた部屋が、まさにこのサウナ室だったのだ。
つまり、脱衣所からサウナが、サウナから脱衣所が丸見えなのだ。
横須賀にも一軒あるが、面白い造りだ。

最後にバイブラ湯に浸かり、水をかぶって風呂場を後にする。

帰りのカウンターで、ドライゼロの試供品を見つけた。
そういえば、全国各地の銭湯で無料配布するって聞いた気がする。
せっかくだから貰おうとすると、なんと冷蔵庫からキンキンに冷えた物をいただいた。
もちろん、外に出るや否や一気飲み。

涼しい風が吹く中、気分と疲れをリセット。
さて、ゆっくり横須賀までドライブだ。
初めて国分寺市に来たけど、銭湯以外全く何も見れなかったので、今度は遊びに来よう。



今日も、いいお湯でした!



アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

国分寺市 桃の湯

横浜市西区戸部町〜松島館〜

場所は横浜市西区。
京浜急行横浜駅の隣の駅である戸部へ。
久しぶりに行ったことのない銭湯に行くので、かなり楽しみにしていた。
いつも通り営業時間以外は下調べせずに、ナビだけを頼りに向かう。

その日は初夏の陽気で気温が高く、今年初めての半袖での外出。
暖かな風が吹く午後2時半過ぎに、無事到着。
通り沿いからすぐ見えるが、少し前までは道路沿いに別の建物があり、少し奥まった場所に建っていたようだ。
別の建物があった所は、今は銭湯の駐車場になっている。

開店が午後3時なので、少し早めの到着。
せっかくこの時間に来れたのだから、一番風呂に入りたいところだ。

3台ほどある駐車スペースに車をとめて、いつものように外観を眺めていると、銭湯のおかみさんらしき人が外におり、軽く会釈をしてくれた。
その女性はそのまま建物の中へ。

この時気付いたのだが、開店時間前なのに既に暖簾がでている。
どうやら既に開店しているようなので、外観は入浴後にゆっくり眺めるとしよう。

レトロな造りの下足箱に靴を入れ、右手の男湯へ。
こちらは昔ながらの番台だが、おかみさんは女湯の方にいる。
番台には各種販売品が置かれている他に、小さなラジカセが1つ。
そのラジカセからは、なんとも言えないノスタルジックな曲が流れている。
演歌でも歌謡曲でもない、ハーモニカのノスタルジーな曲。
これは反則じゃないのか。こんな素敵な曲を流されたら、本当に自分が昭和へタイムスリップしたような感覚になるではないか。

入浴料を支払い、脱衣所へ。
脱衣所も昭和銭湯そのものの造りをしていて、高い天井、古いマッサージ機や体重計、大きな鏡と、どれを取っても味のある素敵な空間だ。
ラジカセから流れる素敵な曲に耳を傾けながら服を脱ぎ、脱衣所中心にあるロッカーに衣類を入れる。

入る前にこんな気持ちになるのは久しぶりだ、楽しみで仕方がない。
さぁ、いざ風呂場へ。

風呂場も他所と基本的な造りは変わらず、奥に湯船、手前にカランとなっている。
ペンキ絵は平成24年に描かれた西伊豆からの富士山。立派だ。

浴室には既に5人ほどの先客がおり、先客全員が常連さんのようだ。
よそ者の私は桶と椅子を手に取り、カランを陣取る。
カランは左壁沿に7(この列のみ固定式シャワー付き)、鏡付き島カランが対面で5ずつ、右壁沿に4、一番奥だけ立ちシャワースペースが設けられている。

カランから出るお湯は熱めで、これまた私の好み。
サッと身体を洗ったら、お待ちかねの湯船へ。

湯船は2つ。
左が深湯、右が浅湯となっている。
お湯の温度は少し熱めで、子供が入るにはちょっと熱すぎる位。
でもとても入りやすい湯質なので、熱いのが大丈夫であれば誰でも気持ちよく入れるだろう。

深湯と浅湯を交互に入り、バイブラの気泡に包まれながらゆっくりと上を見上げると、傾きかかった日差しが浴室内に差し込み、白く塗られた壁に日が当たっている。
夜の銭湯も好きだが、明るいうちに入る風呂もまた格別だ。

少し体の熱を冷ましてから風呂場を後にする。
相変わらず流れる最高のハーモニカの音色。
ゆっくりと服を着ながら、少しおかみさんと話させてもらった。

外に出ると、カラッとした陽気なので湯あがりは最高にサッパリしている。
外に出て建物裏へまわると、古い煉瓦造りの倉庫があった。
凄く味のある、古い倉庫は薪等の倉庫だろうか。

ここはみなとみらいや横浜駅等、歩いてすぐの所に大きな街や建物が多いが、スッと脇に入れば落ち着ける場所がある。
隠れ銭湯、またいい所を見つけました。

今日も、いいお湯でした!

アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

横浜 松島館

大田区南千束〜八幡浴場〜

この日行こうとしていた銭湯が臨時休業だった為、急遽近くの銭湯を探し、見つけた銭湯へ。
その時いた場所から一番近いというだけで、下調べは一切しないで向かうことに。

地図から見ると、ここの銭湯は駅からそう離れてはいないが、いざ着いてみると付近には自動販売機があるくらいの静かな住宅街。
どことなく横須賀に似た、坂道の多い町だ。

近くのコインパーキングに駐車して、雪の残る坂道を歩いて向かう。

建物の外観は落ち着いた感じの建物で、大きな看板は見当たらない。
目線より少し下に小さな看板がある位。
急遽来たので営業時間を確認しておらず、銭湯に着いたのが開店10分前。

車に戻らず、せっかくなので一番風呂に入るために凍えながら待つことに。
銭湯前には既に常連さん達が数人いるが、皆さん並ぶでもなくバラバラに立っている。
なんとなく、自分もその辺に立って待つことに。

シャッターオープンとともにおかみさんとみられる女性が出迎えてくれた。
下駄箱に靴を入れて木の札を抜き、フロントへ。

ここは10数年前にリニューアルをしたそうで、それまでは番台式だったそう。
フロントの前には腰掛けられるスペースがあり、テレビも設置してある。
脱衣所は特別変わったことはなかった。
ロッカー式で、ロッカーの前には大きなベンチが置かれている。

服を脱いだら、いざ風呂場へ。
風呂場はシンプルな造りをしていて、奥に数種類の湯船が並び、手前のカランは左壁沿に4、鏡付きの島カランは対面で5、右壁沿に5、右手前に立ちシャワーとなっている。

ここはペンキ絵ではなく、夕日が描かれたタイル絵。
天井は高いが湯気が多く、あまり湯気抜きはされていないようだ。

よく掛け湯をしてから左にある軟水のバイブラ湯へ。
ここの銭湯は、『熱からず、ぬるからず』をモットーにしているだけあって、さすがの温度調節。
41〜42度位だろうか。
するっとした軟水のお湯、きめ細かな気泡、絶妙な温度が素晴らしく、とても気持ちがいい。

隣は2人入れるマッサージ湯が並び、1人用の壺マッサージ湯もある。

一番右にある深湯もマッサージ湯になっていて、こちらはボタンを押してジェットを出す仕組み。
このお湯だけ淡水で、軟水と使い分けをしている。
深湯は日替わりのお湯になっていて、この日は青リンゴの湯。甘酸っぱい、いい匂い。

冷えきった寒い日に入る柔らかなお湯は最高だ。
身体を洗い、ゆっくりお湯を楽しんでから風呂を出る。

風呂上がり、フロントの女性と少し話しをさせてもらった。
銭湯巡りをしていると伝えると、今のうちに番台のある銭湯に行くことを勧められた。
東京オリンピックが開催される頃にはもっと少なくなっているだろうからって。

今度から都内に行く時は、なるべく都心に近いレトロな所に行ってみようかなって思いながら、銭湯を後にする。

ここの軟水のお風呂は一度行ってみる価値あり。

今日も、いいお湯でした!!


行きやすさ 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

八幡浴場

台東区浅草 〜蛇骨湯〜

今回伺うのは下町浅草のど真ん中、江戸時代から150年以上続く“超”老舗銭湯。

銭湯の屋号はほとんどの場合、地名か縁起の良い物から取る場合が多いが、ここはそうではない。
『蛇骨湯(じゃこつゆ)』という珍しい屋号の由来は、江戸時代にこの付近の職人が住んでいた蛇骨長屋という長屋があり、そこから付いた名前だとか。
つまり、時代劇や落語の中の世界、そんな時代からの銭湯なのだ。

江戸時代に強い憧れがある私は、数日前から楽しみで仕方がなかった。
そして当日、車で向かう。
休日の浅草とあって、とんでもない人の数。
あまりの人の多さの為、安全な少し離れた場所にあるコインパーキングに駐車。

そこから少し散歩しつつ、ゆっくり蛇骨湯に向かうことにする。
裏道の駐車場から通りに出て、信号を渡ればそこは雷門。
もちろん、記念写真を撮る観光客でごった返している。

目的は銭湯なのでどこの店にも入らず、仲見世〜六区通りをふらふらと歩く。
やっぱ浅草って、外国人観光客がかなり多い。
向かう蛇骨湯は、雷門からほんの5分程度。
繁華街の中にある上、地図を見ながらなので当然迷わずに到着する。

地図上では場所はわかっていたし、テレビやネットでも紹介されていたのを見ていたので外観なんかはわかっていたが、それでも想像を遥かに超えた立地。
わかりやすく言えば、商店街の裏の裏。
私が来た側とは反対の道には小さな看板があるようだが、観光客が何も知らずに歩いていても、絶対見つけることができないだろう。

建物は、なぜか隣の建物なんかに比べて小さく見える。
ぱっと見一階部分しか見えなく、なんとなく銭湯ぽくない。
雰囲気でいえば蕎麦屋のような、そんな感じ。
建物の隣にはコインランドリーがあり、無人ではあるが元気よく乾燥機が稼働していた。

到着したのが12時30分頃。
しかし、空いてるはずのシャッターが閉まっている。。。
当然、営業時間等は下調べをしてきたが、ここまで来てお休みとは。。。

しかしよく見ると自分の勘違いだと気付く。
開店時間が12時だと思っていたが、本当は13時だった。
開店までの30分間、店頭で開店を待つことを即決。
自分の勘違いではあるが、営業時間前に来たのだから、ここは一番風呂に入ろうじゃないか。

その日はよく晴れていたが、そこは裏道で日陰、おまけに冷たい風が吹き抜ける為すぐに身体が冷えてくる。
並び始めて10分ほど、通行人も通らない裏道で立ち尽くしていると、ついに次に並ぶ方登場。
自転車で乗りつけた常連さんと思われる女性は、40代前半位だろうか。
もうしばらくすると、ぞろぞろと並び始める。
前の方はいかにも常連の御婦人方。
一人で来ている方が多く、列に並ぶと途端に常連さん同士で会話が始まる。
少しずつ列は長くなり、開店直前になると20人以上が並んでいただろうか。

定刻になるとシャッターが開かれ、皆さん一斉に中へなだれ込む。
中に入ると、左手に券売機二台、右が下足箱になっていて、狭いながらもスロープになっていて、バリアフリーに対応している。
新しいタイプのロッカー風の下足箱に靴を入れて、鈴の付いた鍵を抜く。
この時、特に常連さんの女性陣は凄まじいスピードで中へと入って行った。

少し乗り遅れた感があったが、間違えないように券売機を眺める。
さすが浅草の超有名銭湯、券売機の説明書きが日本語、英語、韓国語、中国語と、なんと4カ国で書かれている。

サウナに入りたかったので、
『大人入浴料&サウナ&手ぶらセット800円』
を購入。
入浴料金の他にもレンタルのタオルや小物の販売等があり、手ぶらで来ても全て揃うようになっている。

券を買って中に入ると、すぐ正面がフロントになっていて、女性二人で手際よく対応してくれた。
渡された手ぶらセットはタオル、カミソリ、歯ブラシが手提げ袋に入っていて、濡れたタオルをそのまま持ち帰る事ができるようになっている。
お遍路のスタンプは後回しにして、急いで左手の男湯へ。
脱衣所はとても広く、全体的に木目で清潔感がある。
ここは全て鍵付きロッカー式になっていて、ある程度大きな荷物にも対応しているようだ。
その他脱衣所には洗濯機一台、血圧計、フットマッサージ等が備え付けられている。

サッと服を脱ぎ、手ぶらセットを手にいざ風呂場へ。
券売機やフロントで、もたもたしているうちに数人に追い抜かれ、風呂も先を越されたかと思っていたが、なんとか一番乗りで風呂場に入れた。

風呂場は脱衣所から入ると、正面に大きな大きな富士山のタイル絵。
左手に露天風呂と水風呂の出入り口があり、
左正面角から浅湯、マッサージ湯、電気風呂が並んでいる。
カランは左に4、鏡付きコンクリート製の島カランが6ずつ、右壁沿いに7、正面にも少し狭く見えたが3箇所ほど付いている。
雰囲気は、完全にスーパー銭湯。

まず先に身体によくかけ湯をする。
そして他には目もくれずに目の前の風呂へ入る。
よかった、思いがけず蛇骨湯の一番風呂に入れた。
直後から続々とお客さんが入ってくるのが見えたので、すぐに出て次のメインである露天風呂へ。
露天風呂もあまりゆっくりはせず、他の人が入ってくる前に一度出る。

ここ蛇骨湯は、『黒湯』と呼ばれる立派な温泉で有名である。
その上驚きなのが、各風呂はもちろん、水風呂も、カランから出るお湯もシャワーの水も、全て自家源泉の温泉なのである。
そのため洗面器にお湯を溜める時も、薄く茶色かかったお湯が出てくる。

島カランを陣取り、頭を洗い身体を洗い、髭を剃り、歯を磨く。
公衆浴場のカランから温泉が出てくるって、なんだか贅沢な気持ちだ。
身体を洗っているうちに、風呂場は一気に満員状態、中には外国人の方も。
やっぱり混む前に先に入っておいて良かった。

身体を洗い終え、改めて浅湯から入ろうとするも、満員。
マッサージ湯も、電気風呂も、満員。
ある程度身体が温まっているので、お湯には後でゆっくり浸かるとして、先にサウナへ。
サウナ室内は二段になっていて、7人位が定員位。
普通のドライサウナで、温度はちょうど100度。

こちらも中に入るとすでにほぼ満員。
少しつめてもらって座るも、こうも混んでると居心地が悪い。
公衆浴場にしては珍しく、サウナ室内にテレビが設置されていた。
程よく汗をかいたら水風呂へ。
露天風呂があるドアの向こうには、先ほど入った露天風呂の他に水風呂が設置されている。
正面に手すりがあり、丸椅子に座り少し休めるようにもなっている。
その手すりの先には岩山が造られていて、手すりの下には小さな池があり、そこには多くの鯉が泳いでいる。

このスペースは露天風呂というより、吹き抜けに屋根が付いているような感じで、雨が降っても心配なく入れるようだ。

左手にある水風呂の温度は14度と、熱くなった身体を一気に冷やしてくれる温度になっている。
もちろん、この水風呂も黒湯。
ここで少し黒湯の独特な匂いを感じた。

水風呂から出て椅子に座り、鯉を見ながら少し休憩。
なんかどこかの旅館に来たみたいだ。
いや、温泉旅館にも鯉を見ながら露天風呂ってなかなかないかも。

目の前にある露天風呂が空いてきたので、改めて入る。
温度は40度と、熱湯好きとしては少し物足りなさはあるが、ゆっくり浸かるにはちょうどいいのかも。
だから皆さん長々と浸かっていたのか。

少しして、内湯も余裕ができてきたので移動する。
内風呂は浅湯〜マッサージ湯〜電気風呂まで大きな1つの湯船になっていて、温度は42度と、誰でも入りやすい温度になっている。

さっき入らなかったマッサージ湯はスイッチ式で、押すと勢い良くジェットが出てくる。
隣の電気風呂はかなりの人気らしく、年配の方が次から次へと入りにくる。
ようやく入れたが、あまりの電流の強さに耐えられず一瞬にして出る。
今のところ、都内の電気風呂は全部入れないくらい電気が強い。

ゆっくり内湯に浸かりながら浴場内を見渡すと、さほど大きくはない銭湯だが本当にお客さんが多い。
外国人の方も何組かいるのを見ると、ガイドブックかなんかにも載ってるのかな?

風呂に一通り入ったら、立ちシャワーを浴びて風呂場を後にする。
入る時は気付かなかったが、フロント横には小さな待合スペースがあり、飲み物の販売もしている。

東京下町のど真ん中、憧れていた老舗銭湯を満喫。
次来るときは湯あがりに一杯、久しぶりに電気ブランで有名な神谷バーにでも行きたいな。
やっぱ浅草って街が大好きだ。

最後に、車に乗り込んで気付く。
やはり蛇骨湯の黒湯には独特の匂いがあり、自分の身体にその匂いがついていた。
それも、自分には少し苦手な匂い。。。

まぁいいや、それでもまた来よう。

今日も、いいお湯でした!!


アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

蛇骨湯

台東区 上野御徒町〜燕湯〜

車を走らせ、目指すは東京都台東区。
今回は御徒町駅近くの燕湯へ。

今回から新しい事に挑戦する。
それは『銭湯お遍路』。
東京都の浴場組合が発行している『お遍路スタンプノート』という物があり、これを都内の公衆浴場(約580軒)に持参して、入浴の際にお遍路スタンプを押してもらう。
スタンプは浴場オリジナルのデザインになっていて、26浴場達成で認定証が、88浴場で記念品がもらえる。
そのお遍路の最初の銭湯に選んだのが、ここ上野御徒町の燕湯。

では何故、数ある銭湯の中からここを選んだのか。理由は複数ある。
まず早朝営業(朝6時〜)をしていること。
通常銭湯は、午後2時〜3時頃からが多い中、ここはぶっちぎりの早さだ。
そして一番の理由が、東京の銭湯では唯一となる、国の登録有形文化財に指定されているからだ。

お遍路を知った時から、ずっと最初は燕湯と決めていた。

ナビを使ってきたのでもちろん迷わず、幸いにも特別大きな渋滞に巻き込まれる事も無く到着。
御徒町駅の辺りに到着したのが午前11時過ぎ。
銭湯のすぐ近くにコインパーキングを見つけ、そこに駐車。

ナビを頼りにして来たので周りがよくわからず、御徒町駅の表なのか裏なのかもよくわからない。でも駅から歩いて5分位だろう。

こちらの銭湯は大きな通りから路地に入った裏道沿いにある。
ビルとビルの間に、そこだけ時が止まったような建物。
建物は、東京銭湯の代表的な造りである宮造りとは少し違うが、入口の暖簾の上には立派な千鳥破風。
二階?の部分にはいくつか窓がついている。
そこが居住スペースなのかはわからないが、建物の造りが独特だ。
外はコンクリートの壁があり、花王石鹸のレトロなポスターが貼られている。

伺った時は花王石鹸130周年を記念してのコラボ企画だそうで、外の壁の他にも、色々な所に花王のポスターが貼られている。
よく見ると暖簾も花王。
本来の姿が見たかったが、珍しい物が見れたので良しとするか。

その他、入口には変わった物が。
木の板に大きく『わ』と書かれ、その板がぶら下がっている。
これは『わ』と『板』で『わいた』。
つまり、『湯が沸いた』という意味だそうだ。
開店時はわ板。
では閉店時は、『ぬ』と書かれていて、『ぬ板』。
『湯を抜いた』という洒落の効いた物だ。
なんとも、遊び心がいい感じだ。

暖簾をくぐり、松竹鍵の下足入に靴を入れ、右手の男湯へ。
暖簾の先は、昔ながらの銭湯そのものの形をしていて、番台にはご主人と思われる男性がおり、元気よく挨拶してくれた。
お遍路の最初にここに選びましたと伝えると、
『うちが最初でいいのかな?』
なんていいながら、自分で印刷して用意して行ったスタンプノートではなく、新品のスタンプノートに交換してくれた。
そこにスタンプを押して、さらに燕湯のポストカードをいただいた。

東京銭湯の価格460円を支払い、脱衣所へ。
ここは利用客が多いからか脱衣籠は使っておらず、壁沿いと中心に種類の違うロッカーが設置されている。
1つはどこにでもある普通の鍵付きロッカー。
もう1つは、100円バック式の大きめのロッカー。
これは大きな荷物を持ってくるお客さんの為に設置されているのだと思う。
確かに、入口にキャリーバッグ等の注意書きがあった。
少し荷物もあったので、その大きめなロッカーを使用する。
服を脱ぎながら脱衣所を見渡すと、雰囲気は昔ながらの銭湯そのものだ。
天井は高い立派な格天井。

この時、脱衣所には10人以上のお客さんがおり、脱衣所の広さにしては少し服を脱ぐには手狭に感じた。
正直、ここの銭湯でこんなに多くのお客さんがいるとは思わなかった。

服を脱ぎ、いよいよ風呂場へ。


まず驚いたのは、人の多さ。
いわゆる昔ながらのベーシックな銭湯なのに、とんでもない人数が風呂場にいる。
浴室だけでも15人以上はいただろうか。
さすが人気の銭湯だ。

想像通り天井が高く、しっかりと湯気抜きがされている。
正面には中島盛夫絵師による、富士山の立派なペンキ絵。
左下のサインには2016年と、かなり最近描かれたようだ。

カランは左壁沿いに8、対面鏡付き島カランは6ずつ、右壁沿いに6。

島カランを陣取り身体を洗う。
嬉しいことに、燕湯さんにはシャンプー、ボディーソープが備え付けられている。

ガラス戸の前の左右に金属のラックがあり、大きなプッシュボトルにそれぞれ置かれている。

備え付けは非常に嬉しいのだが、頭を洗う時も身体を洗う時にもわざわざ取りに行くのがちょっと面倒だった。
しかも混んでいる上に置き場が二箇所しかないので、少し順番待ちのようになることもある。

サッと身体を洗い終えたら、いよいよ湯船へ。

ここで、燕湯最大の目玉の登場。
ちょうど風呂場の右角、湯船の上に、大きな大きな岩山があるのだ。
それは高さ2メートルほどもあり、これこそが国の登録有形文化財なのだ。
この岩山は、本物の富士山の溶岩で造られており、見た目のインパクトは相当なものだ。

湯船は2つ。
右が浅湯、左が深湯。
どうやら日曜日は薬湯の日らしく、2つある湯船の2つとも『赤ぶどう湯』。
正直、普通のお湯に浸かりたかったが仕方がない。

風呂に入る際、あることに気がついた。
風呂場は非常に混み合っているので、お客さん同士が譲り合って入っているように見える。
よくある、複数人でおしゃべりしながら長々と入っている人は見当たらない。
これは素晴らしい、いい銭湯にはいい客が付くのか。


まずは右の浅湯から入る。
半分溶岩に囲まれた浅湯の温度は43度。
もっと熱いかと思っていたが、それほどでもない。
大きさは5〜6人入れば満員位か。
混んでいるので、あまりゆっくりリラックスできる雰囲気ではないが、足を伸ばして富士山の溶岩を眺める。
いつ頃、どのような経緯で富士山から持ち込んだのか、当時は溶岩の風呂は珍しくなかったのかな、なんて思いながら湯に浸かる。

長湯はせずに隣の深湯へ。
深湯は浅湯に比べ小さく、2人入れば満員だろう。
ちょうど一人出たタイミングで深湯に入る。
温度は46度と、熱湯好みの江戸っ子仕様になっている。

深湯に入る際、湯が赤いので中のタイルが見えず、足を踏み外してドボンと深湯に『落ちて』しまった。
ついでに軽く腕をぶつけてしまい、非常に恥ずかしい思いをしてしまった。
ジリジリと感じる熱湯は私好みで、一気に身体を温めてくれる。

今回は混んでいるので長湯はせず、程よく身体を温める程度で風呂場を後にする。

風呂から出ると、来た時よりも脱衣所が混んでいる。
見た感じ、週末だからか常連さんより観光客の方がが多く見える。
朝6時から営業してるので、今度来る時は早朝に来てみようかな。

それでも常連さんで混み合っているのかな?

服を着て外に出ると、外観の写真を撮っている方が数人。
有形文化財の銭湯は、ある意味観光スポットにもなっているのだろう。

今回も、いいお湯でした!!

アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

燕湯

久里浜 西の湯

車で訪問。
場所は久里浜、東京湾フェリー乗り場のすぐ近く。
地図では一応、横須賀最南端の銭湯。
フェリー乗り場の近くのコインパーキングに車をとめ、歩いて向かう。
大きな通りから裏道に入り、しばらく行くと裏道沿いに見えてくる。
通りに面して窓があり、その面が向かって左側の側面。おそらくこっちが男湯か。
建物は古いが、外観が古いのはどこも同じだ。外見は普通の風呂屋と同じ。
入口付近はトタンで、ずいぶん大きな暖簾が出迎えてくれた。
暖簾をくぐるとハの字の入口。
正面に小さなタイル絵と傘立て、右が女湯、やはり左が男湯になっている。
靴を履いたまま戸を開けると目の前が番台で、そのまま番台の女性に入浴料470円を支払う。
番台前で靴を脱ぎ、脱衣所の中にある下足箱に入れる。
脱衣所は全体的に奥行きが無く、横長な印象。
横長といっても少し狭い感じか。
詳しくは覚えてないが、赤とグレーのカラフルな天井だった。
脱衣所には木製の身長計、古い体重計、マッサージチェアー等、いつも見る光景。
ロッカーと脱衣籠両方あるが、ここはやはり脱衣籠を使う。
風呂屋に来るときは、なるべく貴重品を持ち込まないように心がけているから安心だ。
服を脱いだらいざ風呂場へ。
風呂場も奥行きが無く、横長な印象。
床、壁が白いタイルで、天井まわりも白いペンキ。
全体的に白ってなかなか無い。
しかも珍しい、ペンキ絵やタイル絵等は何もない。
浴場内は白いタイルやペンキなので、水垢や汚れが際立って見える。
残念ながら、自分基準の『清潔感』は、基準を下回っている。
あくまで自分基準だが。
先客は2名。
うち1名は全身刺青。滅多に見られないすんごい刺青。
こちらももちろんケロリン洗面器。
椅子と洗面器を持ってカランの前へ。
カランの数は全部で16。
両側の壁沿いに4つずつ、島カランは対面で4つずつ。
島カランには以前鏡があったのか、両サイドに細い金属の棒だけが立っている。
いつものカランで身体を洗う。
印象はシャワーの温度が少し低かったかな。
身体を洗い終わったら湯船へ。
湯船は3つあり、左から薬湯、浅湯、深湯。
全ての湯船から、出方は異なるがブクブクと気泡が出ている。
まずは真ん中の浅湯へ。
3つある湯船の中でこれが一番小さい。
大人3人ではキツい位の大きさだ。
温度計は無いが、42〜43度程度だと思う。
深湯も同じ温度だったので、浅湯はすぐに出て深湯に浸かることにする。
浅湯に比べて深湯の方が気泡が細かく、お湯が柔らかく感じる。
深湯に浸かっていると先客が出て行ったので、風呂場には私1人となった。
今日も贅沢な時間だ。
でもなんだか落ち着かなくて、薬湯に入ることに。
浴槽の上の壁にある本日の薬湯の看板には、
『温浴素じっこう』
のプレートがかかっている。
赤茶色というか、なんかそんな色。
最も気泡が強い薬湯に入ってみると、まず温度に驚いた。
他所の銭湯はだいたい薬湯はぬるめに設定されている。
しかしここは薬湯が一番熱いのだ。
隣の湯船より2〜3度は高いと思う。
よくわからないが、身体に良さそうな匂いがする。
今日は久しぶりに薬湯でゆったりしよう。
どこの薬湯にも、まろやかなお湯に包まれるような、そんな気持ち良さがある。
どうやら、最近薬湯が好きになってきたみたいだ。
ぽかぽか温まり、気分良く風呂場を後にする。
『温浴素じっこう』の意味がわからず、風呂を出る際に番台の女性に聞いてみたら、その方もそれが何なのかは知らないそうだ(笑)
調べてみると、化粧品や洗剤等を製造している会社の業務用入浴剤だそう。
今回の風呂は自宅から最も『行きにくい』場所にあった為、他の印象も引っ張られてしまい星の数は辛口になってます。
しかし皆さん勘違いしないでください。
私は公衆浴場に対して序列をつけているわけではありません。
その日の体調、気分、機嫌、天気や他のお客さんの態度等によって星の数は変わるはずです。
その日その時の気分なので、星の数は参考にはなりません。
今日もいいお湯でした!!

アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

[map addr=”横須賀市久里浜8丁目14−1” width=”100%” height=”300px”

鷹取 鷹取温泉

車で向かう。
すぐ近くのコインパーキングに車を停め、寒いので急ぎ足で向かう。
今回伺う鷹取温泉は、位置でいうと追浜駅の裏手辺り。
商店街の通り沿いにある、いわゆる“ビル銭”である。
一階が飲食店、二階が銭湯、三階から上はアパートみたいな感じになっている。
建物に大きく鷹取温泉と書かれているので、見過ごすことなくたどり着ける。
建物脇の暖簾をくぐると二階へ上がる階段があり、大きな矢印に『2F 公衆浴場』と書かれている。
階段下には営業時間を知らせる張り紙や注意書き、銭湯関係のポスター等が貼られている。
『本日の湯』の看板にはローズジャスミンと表記されていた。
他にも何故かぬいぐるみが壁からぶら下がっていたりしていて、今まで行った銭湯とは一線を画す造りとなっている。
階段の途中には孫?が描いたであろう子供の絵が飾られている。
階段を上がると目の前の壁はガラスブロック。なんかオシャレ。
階段を上がった先には2つのガラスの引き戸があり、それぞれ男湯女湯になっている。
男湯の戸を開けると、いきなり目に飛び込んできたのはスッポンポンのおじいさん。
昔ながらの銭湯は、暖簾をくぐって戸を開けるとまず下駄箱になっている。
さらに下駄箱から脱衣所までにも戸が設けられていることも多く、外から見えないように『二重構造』となっている事が多い中、突然の脱衣所に驚いた。
男湯の奥にある女湯に出入りする女性は、偶然であれば男湯の脱衣所が丸見えになる可能性もある。
逆に女湯には男性から、または女湯に出入りする女性には角度的に脱衣所が見えない工夫がしてある構造になっていると思う。
ガラス戸を開けて靴を脱ぎ、番台横にある下駄箱に履き物を入れて鍵を抜く。
番台には70歳位の女性。
1人で来ている若い男性客に何かを聞いている。
八景辺りのレストランの場所を聞いているようだ。
入浴料500円を渡すと、その女性は会話を止める事なくおつりの30円を手渡してきた。
昔ながらの銭湯を求めて来ているだから、そんな態度はもちろん嫌ではなく、むしろその会話に入りたいくらいだった。
入口の造りからすると想像できなかったが、脱衣所は意外とシンプルな造りをしている。
番台があり、ロッカーがあり、冷蔵庫があり、テレビがあり、古い体重計がある。
脱衣所のど真ん中にはテーブルとソファー。
テーブルもソファーも、どこかの会社の応接室みたいな感じ。
確かテーブルを囲うように1人掛けソファーが4つだったか。
テーブルの上には自由に使っていい綿棒があり、何故かルービックキューブも置かれている。
以前はここにどっかりと腰を下ろし、湯上がりの一服を楽しめたのだろう。
脱衣所の端っこには100円で使用できる家庭用?の電話ボックスのような、移動可能の1人用サウナが置かれているが、長い間電源すら入っていないようだ。
サウナの後ろには使わなくなった椅子などが置かれている。
服を脱ぎ、ロッカーの鍵を足に巻きつけいざ風呂場へ。
まず目に飛び込んできたのは奥の風呂。
ひょうたん型のような形をしていて、岩山が造られている。
奥の壁には小さなタイルが貼られていて、岬と灯台、ヨット等がタイルのモザイク画で描かれている。
あまりの驚きと、いい意味での裏切りに少しニヤついてしまった。
ケロリンではない洗面器と椅子を持ち、カランの前に座る。
奥に向かって左手の壁沿いのカランを正面したのだが、その壁もまたモザイク画。
そのモザイク画はなんと、全裸の金髪女性。
クチビルも太く、マリリンモンローのような感じの外国人。
しかも4人、凄いセンスだ。
カランまわりは、タイルがとても綺麗なのが印象に残ってるくらいで、特別変わった事はなかった。
体を洗い、湯船へ。
先ほどのひょうたん型の風呂は、なんと湯船のど真ん中に大きな柱が立っている。
ビル銭だから構造上仕方ないのか、狙っているのか。
壁際の岩山から湯が流れる仕組みになっているが、そこからお湯は出ていない。
ジェットの穴のようなものも見えるが、残念ながらそちらも動いていない。
温度は46度、温度にしては少しぬるく感じる。
岩山、柱がある右側は浅く、ジェットのある左側が深くなっており、湯の中で段が造られている。
浅い方はべたに座って胸下くらい、深い方はアゴまで浸かれるようになっている。
体を洗っている間に他の客はみんな出て行ったので、風呂場には自分1人だけ。
ここぞとばかりにキョロキョロ風呂場を見回す。
ビル銭だから仕方ないが、天井が低い。
風呂場全体はさほど広くはないが、風呂場は明るく清潔に感じた。
ここにはもう1つの湯船がある。
日替わりのお湯を楽しめる小さめの湯船が、風呂場に入って左手前に造られている。
深い青色のお湯はローズジャスミンの湯らしいが、ハッキリとした匂いは感じられない。
こちらは常にジャグジーがボコボコしており、常にお湯を供給していて湯船からお湯を溢れさせている。
温度は少しぬるめだが、41度位はあったと思う。
これは素晴らしく入り心地の良い風呂だ。
大きな風呂は形のせいか落ち着かなかったが、この風呂は湯加減、入り心地共に最高だ。
今日もいい汗をかいて頭から水をかぶって脱衣所へ。
自分の使用しているロッカーの台の上にはテレビが置かれていて、ちょうどテレビが目の前にくる感じになっている。
そのテレビを番台の女性がじーっと見ているので、服を着るまでそわそわしてしまった。
帰る際、軽く挨拶を交わす。
12時半には開店していて、水曜と日曜がお休みだそうだ。
やはりネットの情報はあてにならない。
この銭湯は失礼だが『昔イケてた温泉旅館の大浴場』
といった感じ。
立地とのギャップ、予想外の造りには驚いたが、良い所でした。
今回も、いいお湯でした!!!

アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

横須賀市鷹取1丁目4−16