港区南青山〜清水湯〜

今回伺うのは東京の超おシャレタウン南青山。
そんな街にある銭湯はどんなものなのか。
青山の地に100年以上の歴史を持つ清水湯さんへ、いつも通り場所と営業時間だけ調べて、車で向かう。

グッと冷え込んできた11月上旬。
小雨も降り、より寒さを感じる。

近隣にある安い駐車場はどこも満車のため、住宅街にある目玉が飛び出る程の高額コインパーキングに車を停め、歩きながら向かう。

原宿〜表参道付近とは違い、南青山の住宅街には派手な店がほとんど無く、ガレージ付きの大きな家の隣にスイーツショップや小物屋があり、落ち着いた雰囲気の街だ。
南青山の住宅街から大通りに出ると、表参道の駅前の大きな交差点に出た。
その表参道の交差点から赤坂方面に2〜30メートル先、とはいえ交差点からほんのすぐそこに立派なポルシェの販売店がある。
今回伺う銭湯は、ポルシェの脇の道を入ってすぐの場所。

『南青山のポルシェ屋さんの裏の銭湯』

立地だけで、なんてオシャレなんだ。

脇の道に入ってすぐなので、こちらの銭湯に来るのに迷うことはなさそうだ。
まさかの場所にある銭湯は、こちらもまた看板が無ければ銭湯とは思わないだろう。
五階建て程のマンションの一階部分が銭湯になっているようだ。
いつ頃なのかはわからないが、建物自体はかなり新しいと思われる。

中に入る前、外観を眺めるもなんか違和感。
銭湯らしくない看板だ。
入口には『スライム出没注意』とあり、何かイベントの会場のような感じだ。

これは途中からわかったのだが、
『転生したらスライムだった件』
というアニメとのコラボ企画だったようだ。
外装からわかる通り、相当派手なコラボ企画をやっていて、いたる所に装飾や展示があり、元々どんな感じだったのかが非常にわかりにくい感じになっている。

以下、コラボ中の装飾と思われる物についての詳細は省略する。

建物に入ると、まずは下駄箱。
下駄箱はロッカー式で、この時点でここの銭湯が相当綺麗で新しいことがわかった。
下駄箱の時点ですでに音楽がかかっている。

ドアの先へ進むとフロントがあり、券売機で入浴券を買う。
フロントのカウンター前には利用客のキャリーバッグが並んでいるので、旅行者も多く訪れているのがわかる。
今まで都内の銭湯でキャリーバッグは見たことなかったので驚いた。

券売機では通常の入浴料の他にサウナや手ぶらセット等もある。
今回はサウナ利用、シャンプーやタオル類全てが付いて1310円と、東京の公衆浴場の値段が460円なので、追加料金がかなり高め。
しかしそこは南青山なのでよしとしよう。

カウンターには若い女性がおり、下駄箱の鍵と券を渡すと、ロッカーの鍵を渡してくれる。
どうやらここのロッカーは指定式のようだ。

脱衣所はこじんまりとした感じだが、かなりオシャレで綺麗。
利用客が多く、スーツ姿のお客さんの姿も。
ロッカーの鍵は、なんとワイヤレス!ロッカーに近づけると自動で解錠する。
このロッカーのシステムは初めての体験だ。斬新過ぎる。

浴室に入ると、まず人の多さに驚く。
しかし人数はさほど多くなく、コンパクトな浴室に密集しているように感じた。
音楽がかかっていて、ペンキ絵やタイル絵等は無く、銭湯よりオシャレなホテルの大浴場のような雰囲気。

ビル型銭湯、通称『ビル銭』特有の天井の低さもあり、ちょっと狭く感じる。
床のタイルは濃いグレーで、カラン周辺は石のタイルでできている。
入って左側にあるカランは、対面の島カランが2ずつで、それを囲うように12カ所並び、少し離れた所に立ちシャワーが2カ所。

昔ながらのカランではないのが少し残念だったが、とても綺麗で扱いやすかったのが印象に残る。
ざっと身体を洗ったら、湯船へ。

こちらの湯船は3種類。
まずは1番先に目に入った、入って右側にあるジェットの付いた風呂から。
5人くらいは入れるだろうか。
温度は大体41度位で、ゆったり入るのが好きな方には最適の温度になっている。
壁がガラスブロックになっていて、明るい光が浴室内を照らしている。
マッサージ効果でリラックスできるのだが、人が多く居心地が悪かったため、サッと入っただけですぐに出てしまった。

続いて扉の向こうにある風呂へ。
入った時には気がつかなかったが、この扉の脇には掛け湯がある。
少しぬるめだが、手桶もあるので出る時に使うのもいいだろう。

扉の向こうには『高濃度炭酸泉』と『スライム風呂』がある。
どちらも3人入れば満員位の大きさ。
浴槽の外にはプラスチック製の椅子が数脚あり、そこで休憩できるようになっている。

まずは炭酸泉へ。
こちらは40度あるかないか、かなりぬるく感じた。他に入っている方も、顎下までしっかりと浸かっている。
隣のスライム風呂も同様の温度。
もちろん、スライム風呂はコラボ企画のものであり、普段はシルクバスというそうだ。
シルクバスはかなり滑らかな湯質で、ゆっくり時間をかけて浸かることができる。
これは女性人気が高そうだ。

しかし熱湯が好きな私には風呂に物足りなさを感じてしまった。

続いてサウナへ。
サウナ室内にはテレビが設置してあり、温度は86度。
他の風呂の大きさからすると結構大きめで、6人位は余裕で入れるようだ。

10分ほど汗をかき、サウナのすぐ脇にある水風呂へ。
水風呂は最大3人ほどの大きさで、水はしっかりと冷えている。
身体の熱を冷まし、しばらくぼーっとする。
サウナ好きには最高の時間だ。
サウナ→水風呂を数回繰り返し、風呂を後にする。

脱衣所から出ると、ラウンジには多くのお客さんで賑わっていた。
飲み物は一通り揃っているが、珍しい物ではベルギービールなんてのも置いている。

ここの銭湯、どの客層にも合わせた配慮があちこちに見えたのがとても好印象だった。
個人的にはお湯の温度が物足りない位だったが、友人同士、恋人同士、子連れの家族でもみんなで楽しめる銭湯だと思う。
化粧水や乳液等も売っているので女性にも安心だろう。

隅々まで綺麗に掃除されており、清潔感では過去最高ではないだろうか。
東京表参道からすぐ、南青山にオシャレな銭湯をみつけました。


今日も、いいお湯でした!


アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

南青山 清水湯

大田区羽田〜入船湯〜

今日の銭湯は日本一の大空港、羽田空港のすぐ近く。
最寄駅は京浜急行穴守稲荷駅。
今回伺う入船湯は、なんと江戸時代から続く銭湯だそうだ。

晴天、最高のドライブ日和の午前中に車で向かう。
『羽田』というと、自分の中では完全に空港のイメージ。
なので、恥ずかしながら空港以外で『羽田』って町があるのを今回初めて知った。

湾岸線ではなく、蒲田方面から環八通りを進む。初めて通る道だ。
付近に到着すると、天空橋駅に向かう橋がかかっている。
その橋の手前を海沿いに曲がると、そこは昔の雰囲気漂う漁師町。
サイクリングしている人や、海沿いを散歩している家族連れもいる。

銭湯近くに土手があり、海沿いに漁船が並ぶ。
知らなかった。羽田って漁師町だったのか。
どことなく、横須賀市平成町埋め立て前の安浦の雰囲気に似ている。

ナビ通りに進むと、漁師町の中の住宅街に入る。道はかなり狭いが、迷うことなくすぐに着いた。
建物は一階部分がタイル張りになっていて、二階から上は居住スペースになっているようだ。
青と白の独特な雰囲気の看板に、大きく『入船湯』とかかれている。

いつも通り近隣のコインパーキングを探すも全然見つからず、戻ってご主人に駐車場の場所を聞いたところ、建物脇のスペースに駐車できるとのことで、そこに置かせてもらった。
縦列で最大3台まで駐車可能とのこと。

さて建物内へ。
靴を脱いで札を抜き、入ってすぐのフロントへ。
フロントのご主人に色々話を伺うと、やはりここら辺は漁師町で、常連さんは夏になると上半身裸のまま入店してくるようだ。
なんかその辺も横須賀っぽい。

脱衣所はいくらか古く見えるが、清潔が保たれている。
こちらはごく普通のロッカー式。
脱衣所中央にもロッカーがあり、その上には植物とうちわが置かれていて、マッサージ機も設置してある。

さっと服を脱ぎ、いざ風呂場へ。

先客は高齢の方2名のみ。
風呂場の全体の印象はさほど大きくなく、明るい感じ。湯気も篭っていないのでいい感じだ。
正面の壁には雪の山と川のタイル絵が貼られている(記憶が曖昧な部分あり)。
正面壁添いに湯船が並び、左手前にサウナ。

カランはいつもの縦並びになっていて、
左から、
2(立ちシャワー)+2、
対面鏡付き島カランが5ずつ、
右壁沿いに10。
シャワーは固定式。

湯船に浸かる前に、まずはサッと身体を洗う。
軽く洗ったら、湯船へ。

浴槽はとても妙な形をしている。
壁添いに並んでいるのだが、どれも四角形ではないのだ。
左から日替わり?の珍しいヒアルロン酸風呂(L字)。
普通の風呂(五角形)。
バイブラ湯と電気風呂(変則L字)。
となっている。
普通の風呂の壁には岩が張られ、バイブラ湯の壁にはなんと水槽が埋め込まれている。
さほど大きくはないが、立派な水槽だ。
その中には海沿いの銭湯なのに、金魚が数匹泳いでいる。これがアジとかなら最高なのに。

まずはヒアルロン酸風呂へ。
この手の薬湯はだいたい温度は低めに設定してあることが多いのだが、ここの温度は46とかなり高め。
熱いお湯が好きな自分としては嬉しい所だ。

隣の風呂も、マッサージ湯も電気もここよりぬるめに設定してあり、ゆっくり入るのが好きな方はこっちがいいだろう。
しかし湯船自体があまり大きくないので、混雑時はあまりゆっくりできないかもしれない。

続いて無料サウナへ。
MAX7人位入れるサイズのサウナは92度ほど。
貸し切り状態のサウナを楽しみ、外へ出るも残念なことに、こちらの銭湯には水風呂が無い。
桶で水をかぶり身体を締めるが、サウナ好きとしてはかなり残念だった。

時間が無く、あまりゆっくりできなかったがまた行きたい所ができた。
蒲田〜羽田空港辺りに遊びに行く時は、是非立ち寄ってもらいたい。


今日も、いいお湯でした!


アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

羽田 入船湯

横浜市西区戸部町〜松島館〜

場所は横浜市西区。
京浜急行横浜駅の隣の駅である戸部へ。
久しぶりに行ったことのない銭湯に行くので、かなり楽しみにしていた。
いつも通り営業時間以外は下調べせずに、ナビだけを頼りに向かう。

その日は初夏の陽気で気温が高く、今年初めての半袖での外出。
暖かな風が吹く午後2時半過ぎに、無事到着。
通り沿いからすぐ見えるが、少し前までは道路沿いに別の建物があり、少し奥まった場所に建っていたようだ。
別の建物があった所は、今は銭湯の駐車場になっている。

開店が午後3時なので、少し早めの到着。
せっかくこの時間に来れたのだから、一番風呂に入りたいところだ。

3台ほどある駐車スペースに車をとめて、いつものように外観を眺めていると、銭湯のおかみさんらしき人が外におり、軽く会釈をしてくれた。
その女性はそのまま建物の中へ。

この時気付いたのだが、開店時間前なのに既に暖簾がでている。
どうやら既に開店しているようなので、外観は入浴後にゆっくり眺めるとしよう。

レトロな造りの下足箱に靴を入れ、右手の男湯へ。
こちらは昔ながらの番台だが、おかみさんは女湯の方にいる。
番台には各種販売品が置かれている他に、小さなラジカセが1つ。
そのラジカセからは、なんとも言えないノスタルジックな曲が流れている。
演歌でも歌謡曲でもない、ハーモニカのノスタルジーな曲。
これは反則じゃないのか。こんな素敵な曲を流されたら、本当に自分が昭和へタイムスリップしたような感覚になるではないか。

入浴料を支払い、脱衣所へ。
脱衣所も昭和銭湯そのものの造りをしていて、高い天井、古いマッサージ機や体重計、大きな鏡と、どれを取っても味のある素敵な空間だ。
ラジカセから流れる素敵な曲に耳を傾けながら服を脱ぎ、脱衣所中心にあるロッカーに衣類を入れる。

入る前にこんな気持ちになるのは久しぶりだ、楽しみで仕方がない。
さぁ、いざ風呂場へ。

風呂場も他所と基本的な造りは変わらず、奥に湯船、手前にカランとなっている。
ペンキ絵は平成24年に描かれた西伊豆からの富士山。立派だ。

浴室には既に5人ほどの先客がおり、先客全員が常連さんのようだ。
よそ者の私は桶と椅子を手に取り、カランを陣取る。
カランは左壁沿に7(この列のみ固定式シャワー付き)、鏡付き島カランが対面で5ずつ、右壁沿に4、一番奥だけ立ちシャワースペースが設けられている。

カランから出るお湯は熱めで、これまた私の好み。
サッと身体を洗ったら、お待ちかねの湯船へ。

湯船は2つ。
左が深湯、右が浅湯となっている。
お湯の温度は少し熱めで、子供が入るにはちょっと熱すぎる位。
でもとても入りやすい湯質なので、熱いのが大丈夫であれば誰でも気持ちよく入れるだろう。

深湯と浅湯を交互に入り、バイブラの気泡に包まれながらゆっくりと上を見上げると、傾きかかった日差しが浴室内に差し込み、白く塗られた壁に日が当たっている。
夜の銭湯も好きだが、明るいうちに入る風呂もまた格別だ。

少し体の熱を冷ましてから風呂場を後にする。
相変わらず流れる最高のハーモニカの音色。
ゆっくりと服を着ながら、少しおかみさんと話させてもらった。

外に出ると、カラッとした陽気なので湯あがりは最高にサッパリしている。
外に出て建物裏へまわると、古い煉瓦造りの倉庫があった。
凄く味のある、古い倉庫は薪等の倉庫だろうか。

ここはみなとみらいや横浜駅等、歩いてすぐの所に大きな街や建物が多いが、スッと脇に入れば落ち着ける場所がある。
隠れ銭湯、またいい所を見つけました。

今日も、いいお湯でした!

アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

横浜 松島館