横浜市西区戸部町〜松島館〜

場所は横浜市西区。
京浜急行横浜駅の隣の駅である戸部へ。
久しぶりに行ったことのない銭湯に行くので、かなり楽しみにしていた。
いつも通り営業時間以外は下調べせずに、ナビだけを頼りに向かう。

その日は初夏の陽気で気温が高く、今年初めての半袖での外出。
暖かな風が吹く午後2時半過ぎに、無事到着。
通り沿いからすぐ見えるが、少し前までは道路沿いに別の建物があり、少し奥まった場所に建っていたようだ。
別の建物があった所は、今は銭湯の駐車場になっている。

開店が午後3時なので、少し早めの到着。
せっかくこの時間に来れたのだから、一番風呂に入りたいところだ。

3台ほどある駐車スペースに車をとめて、いつものように外観を眺めていると、銭湯のおかみさんらしき人が外におり、軽く会釈をしてくれた。
その女性はそのまま建物の中へ。

この時気付いたのだが、開店時間前なのに既に暖簾がでている。
どうやら既に開店しているようなので、外観は入浴後にゆっくり眺めるとしよう。

レトロな造りの下足箱に靴を入れ、右手の男湯へ。
こちらは昔ながらの番台だが、おかみさんは女湯の方にいる。
番台には各種販売品が置かれている他に、小さなラジカセが1つ。
そのラジカセからは、なんとも言えないノスタルジックな曲が流れている。
演歌でも歌謡曲でもない、ハーモニカのノスタルジーな曲。
これは反則じゃないのか。こんな素敵な曲を流されたら、本当に自分が昭和へタイムスリップしたような感覚になるではないか。

入浴料を支払い、脱衣所へ。
脱衣所も昭和銭湯そのものの造りをしていて、高い天井、古いマッサージ機や体重計、大きな鏡と、どれを取っても味のある素敵な空間だ。
ラジカセから流れる素敵な曲に耳を傾けながら服を脱ぎ、脱衣所中心にあるロッカーに衣類を入れる。

入る前にこんな気持ちになるのは久しぶりだ、楽しみで仕方がない。
さぁ、いざ風呂場へ。

風呂場も他所と基本的な造りは変わらず、奥に湯船、手前にカランとなっている。
ペンキ絵は平成24年に描かれた西伊豆からの富士山。立派だ。

浴室には既に5人ほどの先客がおり、先客全員が常連さんのようだ。
よそ者の私は桶と椅子を手に取り、カランを陣取る。
カランは左壁沿に7(この列のみ固定式シャワー付き)、鏡付き島カランが対面で5ずつ、右壁沿に4、一番奥だけ立ちシャワースペースが設けられている。

カランから出るお湯は熱めで、これまた私の好み。
サッと身体を洗ったら、お待ちかねの湯船へ。

湯船は2つ。
左が深湯、右が浅湯となっている。
お湯の温度は少し熱めで、子供が入るにはちょっと熱すぎる位。
でもとても入りやすい湯質なので、熱いのが大丈夫であれば誰でも気持ちよく入れるだろう。

深湯と浅湯を交互に入り、バイブラの気泡に包まれながらゆっくりと上を見上げると、傾きかかった日差しが浴室内に差し込み、白く塗られた壁に日が当たっている。
夜の銭湯も好きだが、明るいうちに入る風呂もまた格別だ。

少し体の熱を冷ましてから風呂場を後にする。
相変わらず流れる最高のハーモニカの音色。
ゆっくりと服を着ながら、少しおかみさんと話させてもらった。

外に出ると、カラッとした陽気なので湯あがりは最高にサッパリしている。
外に出て建物裏へまわると、古い煉瓦造りの倉庫があった。
凄く味のある、古い倉庫は薪等の倉庫だろうか。

ここはみなとみらいや横浜駅等、歩いてすぐの所に大きな街や建物が多いが、スッと脇に入れば落ち着ける場所がある。
隠れ銭湯、またいい所を見つけました。

今日も、いいお湯でした!

アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

横浜 松島館

金沢区六浦 亀遊館

場所は六浦。国道から一本入り、さらに住宅街に入るとすぐに見えてくる。

まわりは場所のわりに静かな住宅街で、裏道添いにある銭湯。

しばらくの間外観を眺める。
ここは立派な破風屋根があるのだが、その破風の前に後付けのようなタイル張りのエントランスがついていて、どうみても増築したような造りをしている。

エントランスの外には駐輪場、建物両側にはコインランドリーが併設されている。


さて、中に入ろう。


ここは珍しく、入口に暖簾がかかっていない。
そんな銭湯が今まであったかな?と思うくらい、暖簾が無いのは珍しい。

そしてもう一つ、非常にレアな物を発見。

それは『傘用ロッカー』。

想像していただきたい。
よくある傘たては、畳んだ傘を立てておき、首のあたりにカギをかけるのが主流。

しかしここは違う。

一見、普通の下足箱に見える。
開けてみると、小さな穴が見えるだけ。
その小さな穴に傘をさし、扉を閉めて鍵を抜く。
小さく見えるが奥行きの長い傘用ロッカー。
映像や写真では見たことがあったが、実際目にしたのは初めてだ。
古い錠前は定番の『サクラ』。

靴を脱ぐ前からニヤニヤしてしまった。


さて、靴を下足箱へ。
傘用ロッカーのレトロ感と違い、下足箱はよくスーパー銭湯等にある100円玉を入れて鍵をかける、新しいタイプの下足箱。
もちろん帰る際に100円は戻ってくる。

中に入ると、こちらはフロント形式になっている。
フロントの向かい側に券売機があり、そこで入浴券を購入するようだ。
券売機の脇には飲み物や小物等が売っている。
シャンプーや石鹸等、必要な物が一通り揃っているので、手ぶらで行っても大丈夫なようだ。

前売りの入浴券を持参したので、券売機を使わずそのまま入浴券と下足箱の鍵を手渡す。

フロントでサウナ利用を伝えると、追加料金200円を支払う。
ここはサウナを利用するとハンドタオルがついてくる。
ちなみにもう+100円でバスタオル付き。

タオルとサウナの鍵をもらったら、フロント右側の暖簾の先の男湯へ。

脱衣場の印象はとても広く感じる。
天井もそこそこ高くて、広い洗面台もある。
両サイドにはこれまた100円バック式のロッカーがあり、中心には座りながら着替えられる大きな台がある。

体重計もデジタルだし、なんだかスーパー銭湯みたいだ。

脱衣場を見渡していると、天井のスピーカーから音楽が流れてきた。

それは、

チューリップの『虹とスニーカーの頃』。

この一瞬でハートを鷲掴みにされました。
銭湯に来てこれは最高です。
タイムスリップ感ハンパないです。
もうニヤニヤが止まりません。

服を脱いだらいざ風呂場へ。
風呂場は昔ながらの銭湯を少し改造したような造りをしている。

残念ながら奥の壁にペンキ絵は無く、茶色のタイルが張られていて、鶴?が三羽大きく描かれている。

先に湯船の説明をする。
銭湯のイメージでは、奥の壁に沿って横に湯船があることが多い。
以前訪れた中で異彩を放っていたのは横須賀市鴨居の銀泉浴場。
そこは両側壁沿いにカランがあり、浴場の中心に湯船がある【関西式】の銭湯だった。

さて、ここ亀遊館はどうかというと、その2つの要素をかけ合わせたかのような、そんな湯船の配置をしている。
説明しにくいのだか、奥の壁沿いから【T字】になっている。
手前から円形、マッサージ風呂。
奥左側から電気風呂、座風呂、水風呂。

まず、戸を開けて一番手前にある風呂が、円形の湯船。
4〜5人は入れる、一番大きな湯船だ。

続いてその円形の湯船の奥にあるのがマッサージ湯。
座りながら背中、ふくらはぎ、足裏をジェットの水圧でマッサージしてくれる。
ここに入れるのは2人のみ。

続いて、奥の壁沿い左側にある電気風呂。
こちらの電気風呂は、今年に入ってからの新設の風呂だそうだ。
確かにここだけタイルがとても綺麗だ。
そしてここの電気風呂の電気の強さは過去最高。
いろんな電気風呂に入ってきたが、ここの電気風呂は電気が走ると身体がグッと硬直してしまうほど強い。
電気風呂が好きな方にはおすすめします。

続いて奥の壁沿い中央。
こちらは座風呂となっており、座り方は前出のマッサージ風呂と同じで、こちらも2人のみ。
少し後ろにもたれて座り、ジャグジーのような気泡を楽しみながら入れるようになっている。

続いて奥の壁沿い右は水風呂。
こちらは後ほど説明する。


カランは両側壁沿いに取り付けられていて、左壁沿いに9、右壁沿いに6。
マッサージ風呂の裏に3、入口のガラス戸の脇にも3つある。
もちろん、昔ながらのカランだ。


ケロリン桶を使ってサッと身体を洗い、今説明した順番で湯船に入る。

さて、注目したいのは温度だ。
ここの風呂は、全体的にぬるめの41度ほど。
個人的には少し物足りないが、長く入っていられる温度だ。

でもやっぱり温度に物足りなさを感じながらも一通り入り、身体を拭いたらサウナへ。
サウナは風呂場に入ってすぐの右奥にある。
サウナ室の前にはとても小さな水風呂があり、ケロリン桶が1つ置いてある。

サウナ室内は2段になっていて、最高10人位は入れるだろうか。
ここにもスピーカーが設置されていて、ここではスピッツが流れている。
注目の温度はなんと114度。
こちらのサウナの温度は、ぶっちぎりで過去最高の温度だ。
元々あまり長く入らないタイプだが、ここはとてもじゃないが長くなんて入っていられない。
なにより、入ってすぐに全身から汗が噴き出す。

どうにかロビンソンを最後まで口ずさみ、水風呂へ直行。
サウナの外の水風呂ではなく、奥の壁沿いにある水風呂へ。
頭から水をかけて汗を流し、大きめの水風呂へ入る。
こちらの水風呂は井戸水とあって、この季節でもずいぶんひんやりしている。
水風呂には珍しく、下からボコボコと気泡も出ている。
汗だくの身体を引き締めてくれる、最高の水風呂だ。

風呂とサウナと水風呂を2度楽しんだところで風呂場を後にする。

入る時は気がつかなかったが、脱衣場に小さな小窓がついている。
この小窓はフロントと繋がっており、何か必要な物があった場合、ここから商品を買うことができる仕組みになっている。

風呂上がり、ご主人に建物について聞いてみた。
昭和17年にできた亀遊館は、昭和41年に現在の風呂場を増築し、更に昭和62年に現在のエントランスやフロントがある建物を増築したそうだ。

古い建物だが新しさも見え、掃除が行き届いている非常に清潔感のある風呂でした。

ここはお子様連れでも楽しめると思いますので是非。
土日祝日はロビーで指圧整体もやっているそうです。


今日もいいお湯でした!!


アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

亀遊館

金沢区六浦東 みなと湯

車で訪問。
今回の銭湯は横浜市金沢区。

横浜市といっても、ほぼ横須賀市との市境にあり、ここは“横浜市最南端”の銭湯。
国道16号を横浜方面へ走ると、国道沿に看板が見えてくる。

入口の看板には『みなと旅館』『みなと湯』と書いてあり、建物は入口から少し奥まった所に建っている。
細道の奥に建物があるのだが、国道から建物までの、ほんの数メートルの小道に注目。
小道のまわりには、国道から隔離するかのように木が植えられていて、小道に沿って大きな岩が積まれている。
素晴らしい。これが銭湯への入口なのだ。

小道を抜けると建物全体が見えてくるのだが、ここの銭湯、他所とは大きく異なる点がある。
看板にある通り、ここは『みなと旅館』という旅館なのだ。
この旅館に併設されているのが『みなと湯』という銭湯で、旅館の宿泊客からすればここは旅館の“大浴場”なのだ。
そのため建物は二つあり、向かって左が銭湯、右が旅館となっている。
旅館の前の駐車スペースに車を止め、銭湯へ。
敷地は思っていた以上に広く、温泉旅館のような雰囲気がある。
銭湯の前には池があり、大きな鯉が泳いでいる。
建物まわりには、なんとも言えない風情がある。
建物は、この辺ではほとんど残っていない立派な破風の宮造り。
しかも瓦屋根なんて、本当に珍しい。
私の記憶が確かならば、瓦屋根の宮造りの銭湯は現在一軒もなかったと思う。
私の記憶が確かならば。
入口正面にはみなと湯と書かれた暖簾。
暖簾(のれん)も、他所は製薬会社等の社名等が入った物が多く、なかなか銭湯の名前入りは見ることができない。
あまりに立派な建物なので、暫くの間風呂に入らず外観を眺めている。
銭湯を巡っていると、不思議と建物と暖簾だけでも楽しむ事ができるみたいだ。
暖簾の外にはもう一つ入口があり、勝手口みたいな出入り口がある。
そこには『マッサージ処』の暖簾がかかっている。
隣が旅館だからなのか?しかし、銭湯にマッサージって、珍しい。
銭湯の暖簾の先はハの字になっており、男女別の下足箱がある。
正面にはマッサージ処の案内の黒板と、以前みなと湯が取り上げられた時の新聞が額に入って飾られている。
ちなみにこの“ハの字”スペース、他所と比べてかなり広く造られている。
右の男湯の戸を開けると、意外に番台ではなくフロント式になっている。
他にも見た事がある光景だが、もともと番台だったのを改造してフロントにしているのではないかと思う。
フロントで入浴料470円を支払い、指定のロッカーの鍵をもらい、脱衣所へ。
脱衣所は思っていた通りの折り上げ格天井で、とても天井が高い。
中の造りを見ても、やはりもともとは昔ながらの番台と脱衣所だったようだ。
無いところにフロントを作った上に、左手の大きな鏡の前には大きなベンチ、脱衣所の中心には二段ロッカー、右側にはマッサージチェアー、ずいぶん新しい大きな全自動ドラム式洗濯機が3台と、色々な物が置かれている為かなり狭く感じる。
照明は、シャンデリアの様な枠が天井からぶら下がっていて、その周りに蛍光灯が6本程付いている。
説明しにくいがそんな感じ。蛍光灯のシャンデリア風。
端っこの方には、現在はおそらく誰も使わないであろう脱衣籠もいくつか置いてある。
服を脱いだらいざ風呂場へ。
今回の第一印象は風呂場の温度だ。
風呂場の温度がとても暖かいのだ。
ヒートショックへの対策なのか、ずいぶん暖かい。
ケロリン桶と椅子を持ち、カランを陣取る。
カランの数は向かって左の壁沿いに6、鏡とシャワーがついてる島カランが対面で5ずつ、右壁沿いに4で、合計20。
その他、右側の脱衣所寄りに、立ちシャワーが一つ付いている。
他にもそれぞれの列の水下の1つがホース付きシャワーで、その他が全て固定となっている。
風呂場は全体的に清潔感があり、もうずいぶん前だと思うが、床やカランまわりのタイルを張り替えてあるようだ。
正面の壁には鷲?鷹?の大きなタイル絵。
このタイル絵がとても大きい。
左側の壁にも山と湖のタイル絵。
この正面のタイル絵、もしかしたら、いや、絶対昔はペンキ絵の壁だったと思う。
この建物で、昭和の時代にこんなに大きなタイル絵なんであり得ない。その頃はペンキ絵が当たり前の時代だ。
でも間違えてたらごめんなさい。
湯船は2つ。
左が深湯、右が浅湯となっている。
まずは深湯。
この湯船も少し改造されており、もともと普通の深湯だったのをマッサージ湯に変えてあるようだ。
湯船の形は変えず、壁側に座れる位の段を作り、手すりを付けて2人用のマッサージ湯。
背中、ふくらはぎ、足裏へジェットが出ている。
温度は、こちらもあてにならない温度計で41度。
体感は45度位あるかと。
右の浅湯も温度は同じで、浅湯の半分からは気泡が出ていて、何故か水中からオレンジ色の光が出ている。
船越の竹の湯も同様の色だったので、何か意味があるのかな?
今度調べるとしよう。
先客は5〜6人程で、意外と皆さん会話がない。
皆さん近所の常連の方ではないのかな?なんて思いながらお湯に浸かっていた。
背中の壁の向こうからは建物のすぐ後ろを走る京浜急行の電車の音。
目の前には50歳位の方がタワシで身体をガシガシ洗っている。
お湯に浸かりながら上を見上げる。
それまで気付かなかったが、天井がとても高い。
昔ながらの銭湯の天井は、湯気抜きの為かなり高く作られているが、ここは平均を上回る高さだ。
色々考えながらのんびりしたところで、いつものように水を浴び、風呂場を後にする。
古い建物は建て替えたりすることが多い中、ここは古い建物の中に新しさを取り入れた、ある意味時代の少し先を行くタイプの銭湯に感じた。
服を着て外に出ると、少しだけ本当に旅館に泊まっているような感覚になる。
ほんの少しの錯覚だが、得した気分。
また来よう。
今日もいいお湯でした!!

アクセス度 
雰囲気   
清潔感   
湯加減   
また来たい度

横浜市金沢区六浦東3丁目1−23